【壁を崩しながら】スペシャルティコーヒーの
『明るい酸味』を引出すハンドドリップ法
最終更新日:2023/12/05


スペシャルティコーヒーは、
世界が認める最も質の高いコーヒーです。
ハンドドリップの初心者でも失敗する事が少なく、
一定に美味しいコーヒーを淹れることができます。
この記事では、質の高い豆を余す所なく味わうため、
壁を崩しながら、スペシャルティコーヒーらしい
『フルーティさと明るい酸味』を引出す
ハンドドリップの方法を解説します。
今回ハンドドリップに使う豆は、
コロンビア産ゲイシャ アレルセス農園です。


ゲイシャ種は独特のアロマとフレーバーで世界中のコーヒーファンを魅了しています。
今回抽出する豆は、コロンビア最大の生産地ウィラ県、サンアグスチン地区ロス・アレルセス農園です。
コロンビアらしいクリアな飲み口と甘さが加わった、とてもユニークなスペシャルティです。
テーマは、明るさにこだわりながら
フレーバーを引き立てる。


今回のハンドドリップ レシピは、蒸らしも含めて5投のプアオーバー(注ぐ)になります。
湯温はフローラルのフレーバーを引き立てるため、少し高めの設定です。
雑味が出てくる前に、テンポよく落とし切ります。
レシピは'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長です。


おいしいハンドドリップコーヒーへの第一歩は、粉やお湯の量、温度や時間を意識する事から始まります。
記事内では計量器を用意できない方への、対処法なども解説しています。
このレシピで、あなたがハンドドリップの入り口に立てることを願っています。光店店長 守本雅美
さあ、ハンドドリップを始めましょう!
目次
1. 抽出をする豆の紹介_
コロンビア産ゲイシャ アレルセス農園。
2. 用意するもの。コーヒー粉の量と挽き目、
お湯の量と温度について。
3. さあ、ハンドドリップを始めましょう。
1投目、蒸らしを動画で説明。
4. 2投、3投目。そして4投、5投目。その役割とプア・サークル。
5. ハンドドリップ 基本のアイデア。
落ち切り、レシピ開発、抽出時間について。
6. 抽出後に行う事。そして
【 1 : 10 : 13 】と【プア・サークル】の方程式。
1. 抽出をする豆の紹介_
コロンビア産ゲイシャ アレルセス農園。


ウィラ県 サンアグスチン地区 ロス・アレルセス農園。


コロンビアで最大のコーヒー生産地ウィラ県、
その中でもサンアグスチン地区の1850mという高地にロス・アレルセス農園はあります。
ここの農園主カルロス・ガブリエル氏は兄弟中心の家族経営で農園経営をすすめてきました。
また彼は農園主と同時にコーヒー鑑定士でもあり、
その技術と経験がこのゲイシャ・コーヒーの栽培に大きく活かされています。
コロンビア産ゲイシャ アレルセス農園。
焙煎/味わい/フレーバー/酸味について。


ゲイシャ種は、
希少な原生種でもあるため生産性が低く、
また生産技術もまだまだ確立されていません。
そのような中、ガブリエル氏は自身の経験を元に、
コーヒーチェリーの収穫から精製までの過程で、様々な試行錯誤に十分な時間を掛け、
丁寧に仕上げる事でゲイシャ種のデメリットを克服しようとしています。
今回は、ウォッシュド製法で仕上がっています。
焙煎は、シナモン・ロースト〜ミディアム・ロースト周辺で煎り止めました。
どうぞその豊かなアロマとフレーバーをお楽しみください。

1のまとめ_ハンドドリップをする豆の紹介_
コロンビア産ゲイシャ アレルセス農園について。
1. ロス・アレルセス農園はコロンビアで最大のコーヒー生産地ウィラ県サンアグスチン地区高地にあります。
2. 農園主カルロス・ガブリエル氏は、丁寧な仕事でゲイシャ種のデメリットを克服し、高品位な豆を栽培しています。
3. 今回の精製は、ウォッシュド製法。焙煎は、浅目のミディアム・ローストです。
4. ゲイシャ種特有のフローラルなフレーバーとストロベリーティーの酸を感じます。
2. 用意するもの。コーヒー粉の量と挽き目、
お湯の量と温度について。


コーヒー粉について。
中粗挽きのコーヒー粉 18gを用意しましょう。


このレシピでは、コーヒーマグカップで1杯分。およそ200mlをハンドドリップします。
200mlのコーヒーを抽出するために必要なコーヒー粉は、18gです。
豆の状態で購入し、ご自身で豆挽きをされる場合は、中粗挽きに設定してください。
コーヒー粉の粗さは画像のような感じです。
挽いた状態で購入される場合は、中挽きを選択してください。
Q. なぜ、挽き目は中粗挽きなのでしょうか?
A. 挽き目を細かくするとコーヒー粉にお湯が早く浸透し、抽出時間が短くなります。思い通りのコーヒーを淹れるためには、ある程度の時間が必要です。中粗挽きにする事で抽出時間が長くなり、味をコントロールしやすくなります。
詳しくは『ハンドドリップ 基本のアイデア。落ち切り、レシピ開発、抽出時間について。』へ。
お湯について。
湯温は92℃。260mlを用意してください。


200mlを抽出するために必要な湯量は260ml(仕上がりの1.3倍)です。
また湯温は92℃に調整してください。
湯温計をお持ちなら正確に測ってください。
湯温計が用意できない時は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)
・その過程で湯温はおよそ90℃になります。
抽出後の温度は、およそ75℃になります。
酸味や甘味、アロマやフレーバーをバランスよく感じることのできる温度です。
Q : なぜ、湯温は92℃なのでしょうか?
A. このレシピシリーズの標準湯温は、90℃【中煎り】です。今回は、アロマを引き立たせるため92℃としました。香りはより高温の方が引き立つからです。また中浅煎りの豆は他の豆に比べ水分の含有量が高く、いくらか高い湯温で注いでも、抽出時間が短くなることはありません。
詳しくは『ハンドドリップ 基本のアイデア。落ち切り、レシピ開発、抽出時間について。』へ。
2のまとめ_用意するコーヒー粉の量と挽き目、
湯量と温度について。
1. このレシピでは、マグカップ1杯分およそ200mlを抽出します。
2. コーヒー粉は、中粗挽き/中挽きを18g用意してください。
3. お湯は、92℃を260ml用意してください。
4. 仕上がりの温度は、様々な要素がバランスよく感じられる約75℃です。
3. さあ、ハンドドリップを始めましょう。
1投目、蒸らしを動画で説明。


これから行う『明るい酸味を引出すハンドドリップ 』のレシピMAPです。


このレシピでは、260mlを5投に分けて注ぎます。
1投目の蒸らしは、湯量も時間も標準的なドリップです。2投目以降は、ほぼ均等に湯量を配分し注ぎます。
それぞれの時間帯に現れる味わいを余す所なく引き出す目的です。
抽出を始める前に、ペーパーフィルターをリンスしましょう。(お湯は分量外)


ペーパーフィルターを湿らすか、乾いたまま抽出を始めるかには、いろいろと議論があります。
・クラフト色のみさらし(無表白)フィルターの場合は、リンス(湿らす)することをおすすめします。
匂いが除去されていない場合があります。
・漂白済みの白いフィルターは、コーヒーの味には影響がありませんが、わたしはリンスをする派です。
1投目の蒸らしでは、乾燥したコーヒー粉にお湯を注ぎ、粉を開かせて抽出の準備をします。
蒸らした後、ドリッパー内のコーヒー粉一粒一粒が同じ状態に蒸れていることが理想です。
そして、2投目のヨーイドンで一斉に粉が抽出を始める。それがムラなくコーヒーを抽出するイメージです。
ハンドドリップでは、直接フィルターにお湯を掛ける事は、(紙臭がコーヒーに移るため)NG行為です。
フィルターの際(きわ)のコーヒー粉までしっかり均一に蒸れるように、わたしはリンスをします。
1投目。
蒸らしの湯量と時間について。


1投目「蒸らし」。
50mlを、コーヒー粉に満遍なく行き渡らせます。
注ぐ時間はおよそ10秒。その後20秒間蒸らします。
(全体で30秒の工程です。)
動画を参照してください。
・ドリッパー の真ん中(コーヒー粉が深くまである中心部)は多めに、際(きわ)は少なめに注いでください。
・10秒間で50mlを注ぐ速度を覚えてくだい。
スケールを用意できない時は、
・サーバーにドリッパーから滴がしたたるまでドリップしてください。
最終的にサーバーの底に薄くコーヒー液が溜まる状態になります。
3_蒸らしまでのレシピのまとめ/
さあ、ハンドドリップを始めましょう。
1投目。蒸らしの湯量と時間について。
○仕上がりのコーヒー量 | -200ml |
○コーヒー粉 | -18g / 中粗挽き |
○注ぐ湯量/湯温 | -260ml / 92℃ |
○仕上がるまでの時間 | -およそ3分 |
●1投目 【 蒸らし 】 | |
注ぐ湯量 | -50ml |
時間 | -30秒(注ぐ時間=10秒+蒸らし=20秒) |
スケールが用意できない場合 | -サーバーへ滴が垂れるまで注ぐ |
1. このレシピでは260mlを5投に分けてドリップします。
2. 蒸らしを始める前にフィルターをリンスすることをお勧めします。
3. コーヒー粉が深くまである中心部分に多めに注ぎましょう。
4. 10秒間で50 mlを注ぐ速度を覚えてください。 ●目次に戻る
4. 2投、3投目。そして4投、5投目。その役割とプア・サークル。


2投目。
コーヒーの主な成分抽出、味形成です。


2投目。
コーヒーの主成分を抽出するドリップです。
注ぐ湯量は50ml。注ぐ時間はおよそ13秒です。
(全体で30秒の工程。)
動画を参照してください。
・ドリッパー の中心からフィルター 5〜8mmの際(きわ)まで円を描くように注いでください。
・際(きわ)まで来たら、今度は中心に向かって注ぎます。
・2、3度往復しながら円内に注ぎ残しがないようにドリップしてください。
・このお湯を注ぐ円を、プア・サークル(pour=注)とこのレシピでは呼んでいます。
・およそ13秒で50mlを注ぐ速度を覚えてください。
スケールを用意できない時は、
・サーバーの目盛りが約40mlになるまでお湯を注いでください。
その後、コーヒーがサーバーへ落ちるのを待ちます。
3投目。
同じく味の形成です。


3投目も2投目と同じく、コーヒーの味形成です。
注ぎ方、湯量。注ぐ時間。
全て2投目と同じです。
スケールを用意できない時は、
・サーバーの目盛りが約80mlになるまでお湯を注いでください。
その後、コーヒーがサーバーへ落ちるのを待ちます。
4投目。
濃度調整のためのドリップです。


4投目。
濃度調整のためのドリップです。
注ぐ湯量は55ml。注ぐ時間はおよそ12秒です。
(全体で30秒の工程。)
動画を参照してください。
・ドリッパー の中心のみに、細いお湯をす〜と注ぎ続けてください。
・この注ぎ方を、センター・プア(pour=注ぐ)と呼びます。
・およそ12秒で55mlを注ぐ速度を覚えてください。
スケールを用意できない時は、
・サーバーの目盛りが約130mlになるまでお湯を注いでください。
その後、コーヒーがサーバーへ落ちるのを待ちます。
濃度を調整したい時は、注ぐお湯の太さや速度で調整をします。
・薄くしたい時は、
太いお湯で、サァ〜と早く落としてください。
・濃くしたい時は、
中心から小さな円を描くように細いお湯を注いでください。
最終の5投目。
同じく濃度調整のドリップです。


5投目も4投目と同じく、濃度調整です。
注ぎ方、湯量。注ぐ時間。
全て4投目と同じです。
そして、260mlを注ぎきったら
コーヒーが落ち切るのを待って、明るい酸味を引出すハンドドリップの完成です!!!
Q. ハンドドリップ のよくある質問_落ち切りについて。
A. 最後にドリッパー内のコーヒーを落とし切るか、ドリッパーを引き上げるかは、とてもよく受ける質問です。ひと言で言えば、抽出に掛かった時間で判断をします。
詳しくは次章『ハンドドリップ 基本のアイデア。』>>> をご覧ください。スペシャルティコーヒーの『 明るい酸味 』を引出すハンドドリップ法 レシピ MAPまとめ


※時間はおおよその目安です。抽出器具や豆のコンディションなどによって異なります。
スペシャルティコーヒーの
明るい酸味を引出すハンドドリップ レシピのまとめ
○仕上がりのコーヒー量 | -200ml |
○コーヒー粉 | -18g / 中粗挽き |
○注ぐ湯量/湯温 | -260ml / 92℃ |
○仕上がるまでの時間 | -およそ3分 |
●1投目 【 蒸らし 】 | |
注ぐ湯量 | -50ml |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ10秒+蒸らし=20秒) |
スケールがない場合 | -サーバーへ滴が垂れるまで |
●2投目 【 味形成の抽出 】 | |
注ぐ湯量 | -50ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -ペーパーフィルターの際5-8mmまで |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ13秒) |
スケールがない場合 | -サーバー内のコーヒーが 40mlくらいになるまで注ぐ |
●3投目 【 味形成の抽出 】 | |
注ぐ湯量 | -50ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -ペーパーフィルターの際5-8mmまで |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ13秒) |
スケールがない場合 | -サーバー内のコーヒーが 80mlくらいになるまで注ぐ |
●4投目 【 濃度を調整 】 | |
注ぐ湯量 | -55ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -センター・プア(中心部のみ) |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ12秒) |
スケールがない場合 | -サーバー内のコーヒーが 130mlくらいになるまで注ぐ |
●5投目 【 濃度を調整 】 | |
注ぐ湯量 | -55ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -センター・プア(中心部のみ) |
時間 | -全てのコーヒーが落ちきるまで (注ぐ時間=およそ12秒) |
5. ハンドドリップ 基本のアイデア。
落ち切り、レシピ開発、抽出時間について。


ハンドドリップのよくある質問_落ち切りについて。判断の基準は時間です。


抽出を始めると、
1. 酸味と香り
2. 甘味とまろやかさ
3. 苦味
4. 雑味
の順番で味のファクターが現れます。
ドリッパー内のコーヒーを落とし切るか?
ドリッパー を引き上げるか?は、
雑味が現れる前に抽出を終えられるか?
終えられないか?の判断になります。
今回のレシピのように、マグカップ1杯分 200mlの抽出であれば、
問題なく時間内に落とし切ることができますが、
大勢のお客様を迎える時や競技会のように大人数分を一度に抽出する場合には、
それなりの技術がなければ、時間内に落とし切る事は難しくなります。
抽出に少し時間が掛かったなと思ったら、ドリッパーを引き上げてください。
まずは何より、
(何度もカッピングと抽出を重ねて)その豆の雑味が現れる時間/タイミングを把握することが第一です。
*以上の解説は、ハンドドリップをする焙煎豆が一定以上の品質を有する場合に限ります。
焙煎豆自体が多くの雑味を含んでいたり、多くの欠点豆が混じる場合はその限りではありません。
ハンドドリップの魅力_レシピをデザインする。


私たちは「豆の特性を引き出す」という表現を使います。
「豆の特性」とは、
酸味に始まり、甘味、苦味、雑味と入れ替わり現れるその「時間」と味の「質」を
見極めることです。
そして「引き出す」とは、
その豆の長所を活かすために
どの「時間帯」に、どれだけのお湯を、どのように投入するのかをデザインすることです。
その豆の何を長所とするのかは、抽出をする人それぞれで違います。
そしてその引き出し方もまた、それぞれで違います。
私はハンドドリップの一番の魅力は、その多様性にあると思います。
上のグラフの味の移り替わりを考えながら、あなたもレシピをデザインしてみてください。
あなた自身 の、コーヒーと出会える日を想像しながら。。。
味や抽出時間を左右する要因。


思い通りのコーヒーを抽出をするためには、一定の抽出時間が必要になります。
レシピをデザインする上で、味や抽出時間に影響を及ぼす要因をまとめてみました。
●焙煎度
焙煎過程で豆の水分含有量は減少し、深煎りになるほど湯分は浸透しやすくなります。
*同じ挽き目であれば、焙煎度が浅い方が抽出時間は長くなります。
●挽き目
挽き目を細かくすると粉の表面積が大きくなり、湯分が浸透しやすくなります。
*適性な抽出時間が取れる中粗挽きを推奨します。
●粉量
適切な粉量は、仕上がりコーヒー量と注ぐ湯量との比率で覚えてください。粉量 : 仕上がりコーヒー量:注ぐ湯量=
*スペシャルティコーヒー【 0.9 : 10 : 13 】。ストレートコーヒー【 1 : 10 : 13 】。
●人数量
ハンドドリップは、お茶と違ってお湯が粉を通ることで抽出される「透過式」です。
*コーヒー粉は、人数分を単純に掛け算することで美味しく煎れられます。
●総湯量
仕上がりコーヒー量の1.3倍がレシピの推奨です。
*例)コーヒーカップ2杯分(320ml)→総湯量=384ml / マグカップ3杯分(600ml)→総湯量=780ml
●湯温
高温になるほど、浸透が早くなります。
*標準は90℃【中煎り】です。【深煎り】は低めに(85℃)、【浅煎り】は高めに(92℃)設定してください。
●注ぎ方(プア・サークル)
ドリッパーの中心からフィルターの際5〜8mmまで円を描きながらお湯を注ぎます。円が大きくなる程、コーヒーは濃く、抽出速度は早くなります。(円を大きくすると、粉が大きく動きます。ティーバッグの糸を上下に振る様な状態を作ります。)
*どんなサークルでどの様にドリップするのかは、あなたのレシピ次第です。
6. 抽出後に行う事。そして
【 1 : 10 : 13 】と【プア・サークル】の方程式。


サーバー内のコーヒーを
攪拌(かくはん)してください。


ドリップしたサーバー内のコーヒーは、
上部と底部で、大きく濃度が違っています。
サーバーを揺すって、または杯数が多い場合にはマドラーを使って
濃度が均一になる様に攪拌をしてください。
ワインと同じ様に空気と攪拌されることで、コーヒーの味もまろやかになります。
実は、このレシピを開発した守本店長にも苦い体験があります。
2018年日本ハンドドリップ選手権で、審査員に提供したコーヒーの濃度にばらつきがありました。
それが理由で予選の通過を逃した経験があります。
どなたもが同じ味を堪能できる様、しっかり攪拌をしてください。
注ぐカップはしっかり温め、サーブは美しく。


92℃でドリップをした後、コーヒーの温度は75℃くらいに下がっています。
カップを十分温めてからコーヒーを注いでください。
そしてコーヒーを注ぐのは、お客さまの目の前で。
厚手のカップは、ボール部を持って注いでください。
薄手のカップは、ソーサーに置いて注いでください。
お客様が持つ取っ手に触れない心使いが
コーヒーを一層美味しく演出します。
ハンドドリップを学べば、コーヒーの世界は広がります。


壁を崩しながら、明るい酸味を引き出すハンドドリップのレシピ、
いかがでしたか?
ストレートコーヒーでは
粉量 : 抽出量 : 湯量 =【1:10:13】が基準となるところ、
今回は粉量を90%にして【0.9:10:13】にしました。
その理由は、
・明るいコーヒーがテーマであったこと
・高品質なコーヒーを余すところなく抽出することを目標にしたこと
です。
お料理の「Hole Foods」や「一物全体」に近いアイデアかもしれません。
コーヒーはとてもパーソナルな飲み物だと
私は思います。
ですからここに記した方法は、一つの考え方にしか過ぎません。
様々なハンドドリップを思考錯誤して、
ぜひ、あなた の、スペシャルティコーヒーと出逢ってください。
守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位
*日本スペシャルティコーヒー協会_過去の競技結果
美味しいハンドドリップの方程式
【 1:10:13 】と【 プア・サークル 】
●【 1:10:13 】は、多くの方に美味しいコーヒーをお出しする時の、分量の方程式です。
※今回のレシピでは、明るい酸味をテーマに【 0.9:10:13 】に粉量をアレンジしています。
・ 1:10:13は、粉の量:仕上がりのコーヒー量:注ぐ湯量の比率です。
・ 仕上がりのコーヒー量は、カップの形状によって変わります。
・ 標準的なコーヒーカップは160ml、マグカップは200mlになります。
・ 例えば、コーヒーカップ2杯分は、粉の量32g、仕上がりのコーヒー量320ml、注ぐ湯量416ml
・ マグカップ3杯分は、粉の量60g、仕上がりのコーヒー量600ml、注ぐ湯量780mlになります。
●【 プア・サークル〈プア/pour=注ぐ〉 】は、2投目以降に注ぐお湯の『円』の大きさを表します。
・ 雑味などを避けるため、焙煎度でドリップの円の大きさが異なります。
・ 1投目の蒸らしは共通です。コーヒー粉にお湯を満遍なく行き渡らせてください。
・ 2投目以降↓
・【中煎り】は、500円玉大にドリップしてください。
*【中煎り】ストレートコーヒーの 『 甘さとコク』を引出すハンドドリップ法 >>> こちらから
・【深煎り】は、1円玉大に、ほぼ中心を目掛けてドリップしてください。
*【深煎り】ストレートコーヒーの『きれいな苦味』を引出すハンドドリップ法 >>> こちらから
・【中浅煎り】は、500円玉大に、中煎りよりもゆっくりとドリップしてください。
*【中浅煎り】ストレートコーヒーの 『穏やかな酸味』を引出すハンドドリップ法 >>> こちらから
・【壁を崩しながら】の抽出は、ペーパーフィルターの際5~8mmまで円を広げてドリップしてください。
*【壁を崩しながら】スペシャリティコーヒーの 『明るい酸味』を引出すハンドドリップ法 >>> こちらから
・ いずれもクリアできれいなコーヒーが抽出できます。

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