【中煎り】ストレートコーヒーの
『 甘さとコク』を引き出すハンドドリップ法

最終更新日:2023/12/01

中煎りコーヒーは、多彩な味わいを、
バランスよく感じ取ることのできるコーヒーです。
なぜならこの焙煎域では、酸味や甘味、
香りや質感などが、様々な形で現れるからです。
ここでは最も中煎りらしい味わいの
【豊かな甘みとコク】を引き出す
ハンドドリップの方法を解説します。

今回ハンドドリップに使う器具は、
広く使われているハリオ社のVシリーズです。

ハンドドリップには必要な器具が5つあります。
中でも重要な2つが、コーヒー粉をこすためのドリッパーと、こしたコーヒーを受けるサーバーです。
今回は、プロの方にも広く使われている
ハリオ社Vシリーズを使用します。

豆はどなたにも入手が容易な
ストレートコーヒー豆です。

今回ハンドドリップをする豆は、
ウェブ上でも、お近くの自家焙煎豆専門店でも
入手が容易なストレートコーヒー豆です。
中でも中煎りに適した代表的な豆、ブラジル産を使用します。

レシピは'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長です。

コーヒーボーイ光店守本店長は、20年に渡ってハンドドリップコーヒーをお客さまに提供してきました。
『ハンドドリップを学べば、コーヒーの世界は広がります。』と話す守本店長。
あなたもその入り口に立ってみませんか。

さあ、ハンドドリップを始めましょう!

1. 器具の紹介 - ハンドドリップ初心者の方へ。
広く使われている器具には理由があります。

①ドリッパーはハリオ社 V60 ドリッパー02クリアがおすすめです。

ハンドドリップは、コーヒー粉にお湯を注ぎ、
溶け出したコーヒー液をこす事で、
コーヒーを抽出する方法です。

その時のドリッパーの役割は、
・コーヒー液を均一にこせること
・注ぐお湯の量で、こす速度が調整できること

になります。

速度調整は、自分好みのコーヒーをドリップするために欠かせない機能です。
このV60ドリッパーは、コーヒー液が360°から1つの穴に均一に落ちていくので、
速度調整がしやすい設計になっています。

1-4人分を一度にドリップできるV60ドリッパー02クリアをおすすめします。

V60ドリッパー 02クリア

●VDR-02-T ●透明 ●幅137×奥行116×高102mm
●口径116mm ●1-4杯用
*価格はご自身で確認ください。

*HARIO オフィシャルサイトはこちら

②サーバーはハリオ社 V60コーヒーサーバー700がおすすめです。

サーバーは、
・メモリが付いて、内容量が分かるもの
を選んでください。

ハンドドリップは何度かに分けて、お湯を注ぎます。
そして、注いだ湯量を知ることがとても重要です。

スケール(計量器)を用意できればベストです。
できない場合には、サーバーの目もりで代用することも可能です。

ドリッパーと統一デザインのV60コーヒーサーバー700をおすすめします。

V60コーヒーサーバー700

●VCS-02B ●ブラック ●幅180×奥行125×高133mm
●口径92mm ●容量(バンド下)700mL
*価格はご自身で確認ください。

*HARIO オフィシャルサイトはこちら

③ドリップケトル

ケトルは、
・注ぐお湯の細さを調整できる
ハンドドリップ専用の細口ケトルを使います。

また、お湯の温度調整は、美味しいコーヒーを淹(い)れるために欠かせません。
湯温計を用意するか、用意できない時はケトル内で温度を調整をします。その方法は後述いたします。

注ぎやすい、お好きなケトルを選んでください。

④ペーパーフィルター

ペーパーフィルターは
V60ドリッパー02クリアに適合にする
・円錐形 1〜4人分サイズ
を選んでください。
できる限り匂いのない蛍光染料不使用 、接着剤不使用が良いでしょう。

COFFEEBOYではネルドリップの質感に近い、
オリジナルペーパーフィルター「DRIP GIRL」を発売しています。

DRIP GIRL 1-4人 円錐形

●蛍光染料不使用 ●接着剤不使用
● 60枚入り ●日本製
528円

*DRIP GIRL 購入ページはこちら

⑤計量スプーン

計量スプーンは
・V60サーバーに付属のスプーン
が十分に役割を果たします。
コーヒー粉ならすりきり12gが計れます。
内側には8/10/gの目安が付いています。

自分好みの豆や粉の量を目分量で量れるようになれば、コーヒーライフも楽しくなります。

1のまとめ_器具の紹介。
広く使われている器具には理由があります。

1. ドリッパーは、ドリップの速度が調整しやすいV60ドリッパーがおすすめです。
2. サーバーは、内容量が分かる目盛り付き、V60コーヒーサーバーがおすすめです。
3. ケトルは、注ぐお湯の太さが調整できるものを選びましょう。
4. ペーパーフィルターは、ドリッパーに適合する無臭のものを選びましょう。
5. 計量スプーンは、V60コーヒーサーバーの付属品が使えます。

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2. 豆の紹介。中煎りの特性が活かされる
ブラジル産のコーヒー豆を使用します。

ストレートコーヒー豆とは?

今回ハンドドリップに使用する豆は、一般にストレートコーヒーと呼ばれる豆です。
コロンビア、エチオピア、タンザニアといった著名なコーヒー原産国が
自国政府で管理し、国の威信を掛けて世界に送り出す豆です。

今回は中煎りコーヒーの代表と言えるブラジル産豆「マイルド・ブラジル」を使用します。

ブラジル産コーヒー豆について。

ブラジルは、栽培量の実に30%を占める世界最大のコーヒー生産国です。
17世紀にギニア(現在のニューギニア)からティピカ種が持ち込まれ、その後ブルボン種の導入と高度な機械化により、19世紀には世界最大のコーヒー産国となりました。

またブラジル産豆は、日本人の誰もが最初に思い浮かべる”コーヒーの味”と言われます。
そんな親近感のある豆を、今回は選んでみました。

「マイルド・ブラジル」。
焙煎/味わい/フレーバー/酸味について。

COFFEEBOYの「マイルド・ブラジル」は
平均的なブラジル産豆の焙煎より
浅めのミディアムローストで煎り止めています。

本来穏やかな酸味と苦味を持つブラジル産豆、
中浅煎りにすることでアーモンドやナッツのフレーバーがさらに強調されます。
「美味しい!」と声を上げるよりも、安息を感じる日常の1杯として選んでいただきたい豆です。

スイーツを選ぶならナッティさを活かした雑穀系やオートミールクッキーなどがおすすめです。

2のまとめ_豆の紹介。
今回ハンドドリップをする豆はブラジル産のストレート豆です。

1. ブラジルは、世界最大の輸出量を誇るコーヒー生産国。
2. その特性は、穏やかな酸味や苦味を持ち、どなたにも飽きのこない味わい。
3. 焙煎は通常より少し浅め。穏やかな酸味と苦味を持ち、ナッツやチョコレートのフレーバーを感じます。
4. スイーツのお供は雑穀系やオートミールがおすすめです。

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3. 中挽き粉とお湯を用意して、さあ1投目。
蒸らしの温度、湯量、時間は?

挽き目について。中挽きのコーヒー粉 20gを用意しましょう。

今回は、コーヒーマグで1杯分。およそ200mlをハンドドリップ(以下ドリップ)します。
200mlのコーヒーをドリップするために必要なコーヒー粉は20gです。

豆の状態で購入し、ご自身で豆挽きをされる場合は、中粗挽きに設定してください。
コーヒー粉の粗さは画像のような感じです。

挽いた状態で購入される場合は、中挽きを選択してください。

200mlのドリップに必要な湯量は260ml。湯温は90℃に調整しましょう。

200mlをドリップするために必要な湯量は260ml(仕上がりの1.3倍)です。
また、中煎りコーヒーに最適な湯温は90℃です。
湯温計をお持ちなら正確に測ってください。

湯温計がない場合は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)
・その過程で湯温はおよそ90℃になります。

ペーパーフィルターをセットして、
1投目は蒸らしです。その湯量と時間について。

さあ、ハンドドリップのスタートです。
(以下、お湯を注ぐ事をドリップと言います。)

ペーパーフィルターをセットして、コーヒー粉を20g入れましょう。
1投目は「蒸らし」です。
乾いた粉にお湯を満遍なくドリップしましょう。
画像のようにコーヒー粉が膨らみ、コーヒー液が抽出しやすくなります。

蒸らしの湯量は60ml(60 g)です。
スケール(計量器)がある時は、
・サーバーにフィルターをセット、コーヒー粉を入れた状態で0gにセットてください。
・蒸らしのお湯を60ml(60g)ドリップしてください。


スケールがない時は、
・サーバーにドリッパーから滴が落ちるくらいが目安です。
滴が落ちるまで時間が少しかかります。何度か経験してその湯量を体得してください。

蒸らしの時間は重要です。
中煎りコーヒーの場合は、注ぐ時間も含めて30秒間です。(蒸らしの時間は焙煎度合によって変わります。)

3のまとめ_コーヒー粉とお湯を用意して、
さあ1投目。蒸らしの湯温と時間は?

1. この記事では、およそ200mlのコーヒーをハンドドリップで抽出します。
2. コーヒー粉は、中挽きを20g用意してください。
3. お湯は90℃、260mlを用意してください。
4. 蒸らしの湯量は、60ml。コーヒー粉に満遍なく行き渡らせます。
5.スケールがない時は、サーバーに滴がしたたるまで注いでください。
6. 蒸らしの時間は、注ぎ始めから30秒間です。

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1:10:13の方程式を覚えてください。3人分の分量は?

● コーヒー粉の量:仕上がりのコーヒー量:注ぐ湯量=1:10:13です。
● カップの標準容量は、コーヒーカップ160ml、マグカップ200mlです。

例)コーヒーカップ3杯分は、
コーヒー粉の量 : 48g / 仕上がりのコーヒー量:480ml / 注ぐ湯量 : 620ml になります。

4. 2投目、そして3、4投目。
それぞれの役割とドリッパー内の状態について。

蒸らし後は、コーヒーの主な成分をドリップする2投目です。

2投目。
蒸らしで膨らんだコーヒー粉の頂点を目掛けて、
ケトルの角度を調整し細くしたお湯をドリップしましょう。
その後、中心から500円玉大の円を描くように
ケトルを回しながら注いでください。

スケールで湯量を測りながら120ml(120g)をドリップしましょう。
スケールがない時は、サーバーの目盛りがおよそ130mlになるまで注いでください。

ここでコーヒーの成分を全て出すつもりで、テンポよくドリップしましょう。

120mlを注いだら、ドリッパーからコーヒーが落ちきるのを待ちましょう。

2投目、120mlを注いだら、または(計量器がない時は)サーバーの目盛りが130mlに達したら、
ケトルを置いてコーヒー液がサーバーへが落ちきるのを待ちましょう。

2投目が落ちきるまで、およそ50秒が目安です。
経験を重ねてドリッピングの速さを体得してください。

3、4投目は土手を崩さずに、濃度調整です。

2投目が落ちきったら3投目。
40mlを同じ500円玉の内側に弧を描きながら注ぎましょう。

500円大の外側(土手と呼びます)には、雑味やアクなどのネガティブ要素が潜んでいます。
土手を崩さず、同じ円内に注いでください。

40mlを注いだら、同じくコーヒーが落ちきるのを待ちましょう。
3投目の時間はおよそ30秒です。

3投目が落ちきったら、4投目。
同じく40mlを500円玉大の内側にドリップします。

3、4投目の役割は、コーヒーの濃度調整です。

少し濃くしたい時は、コーヒーがゆっくり落ちる様に時間をかけてドリップしましょう。
少し薄くしたい時は、500円玉の中心だけを目掛けてドリップしましょう。
ドリッパーの内側は次第に画像のように、コーヒー粉が出涸らし状態になっていきます。

そして、260mlを注ぎきったら
コーヒー液が落ちるのを待って、中煎りハンドドリップの完成です!!!

中煎りストレートコーヒー
ハンドドリップ レシピのまとめ

○仕上がりのコーヒー量 -200ml
○コーヒー粉 -20g / 中粗挽き
○注ぐ湯量/湯温 -260ml / 90℃
○仕上がるまでの時間 -およそ2分20秒
●1投目 【 蒸らし 】
注ぐ湯量 -60ml
時間 -30秒(注ぐ時間+蒸らしの時間)
スケールがない場合 -サーバーへ滴が垂れるまで
●2投目 【 コーヒーの主な成分を抽出 】
注ぐ湯量 -120ml
注ぐ範囲/プア・サークル -500円玉大
時間 -およそ50秒(注ぎ始めてから落ちきるまで)
スケールがない場合 -サーバー内のコーヒーが
130mlくらいになるまで注ぐ
●3投目 【 濃度を調整 】
注ぐ湯量 -40ml
注ぐ範囲/プア・サークル -500円玉大
時間 -およそ30秒(注ぎ始めてから落ちきるまで)
スケールがない場合 -サーバー内のコーヒーが
170mlくらいになるまで注ぐ
●4投目 【 濃度を調整 】
注ぐ湯量 -40ml
注ぐ範囲/プア・サークル -500円玉大
時間 -およそ30秒(注ぎ始めてから落ちきるまで)
スケールがない場合 -全てのコーヒー粉が落ちきるまで

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テスト

テスト

テスト

5. ドリップ後に行っていただきたい事、
そして【 1:10:13 】の方程式。

サーバー内のコーヒーを
攪拌(かくはん)してください。

ドリップしたサーバー内のコーヒーは、
上部と底部で、大きく濃度が違っています。

サーバーを揺すって、または杯数が多い場合にはマドラーを使って
濃度が均一になる様に攪拌をしてください。

実は、このレシピを開発した守本店長にも苦い体験があります。
2018年日本ハンドドリップ選手権で、審査員に提供したコーヒーの濃度にばらつきがありました。
それが理由で予選の通過を逃した経験があります。

どなたもが堪能できる様、しっかり攪拌をしてください。

注ぐカップはしっかり温め、サーブは美しく。

90℃でドリップをした後、コーヒーの温度は幾らか下がっています。
カップを十分温めてからコーヒーを注いでください。

そしてコーヒーを注ぐのは、お客さまの目の前で。
綺麗な所作でサーブすると一層美味しくなります。

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ハンドドリップは、コーヒーの世界を広げてくれます。光店守本店長

・コーヒー粉の量
・お湯の量
・お湯の温度
・注ぎ方
・注ぐ時間

ハンドドリップには、
この5つの要素を組み合わせることで、
自分好みのコーヒーと巡り合う楽しさがあります。

確かにハンドドリップの大会は、
コーヒーのネガティブな要素を取り除いて、どう本来の味わいを引き出すのかを競う競技です。

だからと言ってどなたかのネガティブな要素は、
必ずしもあなたのネガティブ要素ではありません。

コーヒーはとてもパーソナルな飲み物だと
私は思います。
様々なハンドドリップを経験して、
ぜひ、あなた の、コーヒーと出逢ってください。

コーヒーの世界を広げましょう。

●の、コーヒーを探しましょう。
●ハンドドリップを始める方へ。基本の抽出法。
●ハンドドリップをもっと学びたい方へ。

*光店 守本店長のページはこちら

美味しいハンドドリップの方程式
【 1:10:13 】と【 プア・サークル 】

●【 1:10:13 】は、多くの方に美味しいコーヒーをお出しする時の、分量の方程式です。

・ 1:10:13は、粉の量:仕上がりのコーヒー量:注ぐ湯量の比率です。
・ 仕上がりのコーヒー量は、カップの形状によって変わります。
・ 標準的なコーヒーカップは160ml、マグカップは200mlになります。
・ 例えば、コーヒーカップ2杯分は、粉の量32g、仕上がりのコーヒー量320ml、注ぐ湯量416ml
・ マグカップ3杯分は、粉の量60g、仕上がりのコーヒー量600ml、注ぐ湯量780mlになります。

●【 プア・サークル〈プア/pour=注ぐ〉 】は、2投目以降に注ぐお湯の『円』の大きさを表します。

・ 雑味などを避けるため、焙煎度でドリップの円の大きさが異なります。
・ 1投目の蒸らしは共通です。コーヒー粉にお湯を満遍なく行き渡らせてください。
・ 2投目以降。【中煎り】は、500円玉大にドリップしてください。
・【深煎り】は、1円玉大に、ほぼ中心を目掛けてドリップしてください。
・【中浅煎り】は、500円玉大に、中煎りよりもゆっくりと時間を掛けてドリップしてください。
・ いずれもクリアできれいなコーヒーが抽出できます。

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中煎りの甘さとコクを引き出すレシピで、
美味しく抽出できる豆4種。

:ミディアム・ロースト / 酸味3 / 甘味3 / 苦味3

:ミディアム+ロースト / 酸味3 / 甘味4 / 苦味2

:ミディアム+ロースト / 酸味3/ 甘味4 / 苦味3

:ミディアム+ロースト / 酸味4 / 甘味4 / 苦味3

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