もっと知りたいコーヒーのこと
コーヒー豆の品種について その1(後編)
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コーヒーボーイの焙煎士・金近がお届けするコーヒーの豆知識。 今月は「コーヒー豆の品種について その1」豆種の基本(後編)のご紹介です。 前編はこちら→「コーヒー豆の品種について その1」豆種の基本(前編)
- ゲイシャコーヒー
人気の背景 -
【豆種の基本(後編)】 エチオピアのゲシャでゲイシャ種が発見されたのは1931年のこと。 その後コスタリカやパナマへと渡りますが、栽培の難しさから次第に多くのコーヒー農園から姿を消すことになります。 一度は忘れられたゲイシャ種ですが、高品質なコーヒーを栽培する世界有数のコーヒー農園・パナマのエスメラルダ農園に残っていたゲイシャ種の樹木が2000年初めに偶然発見されたことが、現在のゲイシャ人気に繋がります。 エスメラルダ農園は歴史のある農園で、元はスウェーデン人の農主が開いたコーヒー農園ですが、今から60年ほど前にアメリカ人が買い取り現在は息子が受け継いでいます。 偶然発見されたゲイシャ種の樹木は初代の農園主がエチオピアから取り寄せたものだったのか、あるいは他の品種からの変異で生まれたものなのかは今となってはわかりませんが、数十年もの長い間消えていたゲイシャコーヒーの復活は、「ゲイシャショック」ともいわれ、大変華々しいものになりました。 エスメラルダ農園のゲイシャは2004年、パナマのコーヒー品評会にて当時の最高額で落札され優勝したことをきっかけに、1日にして世界中にその名を知らしめることになります。 ゲイシャコーヒーは、ジャスミンを思わせる風味とフレッシュな酸味、濃厚な甘さを持ち合わせた複雑で奥深い味わいが特徴で、それまでのコーヒーにはなかった「白い花のイメージ/フローラル」というコンセプトを持たせたコーヒーとしても有名です。 エスメラルダ農園のゲイシャはその後何度も品評会での優勝を果たし、パナマゲイシャの名を不動のものにしていきます。
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少し横道にそれますが、エスメラルダ農園でゲイシャ種が発見された後、エチオピアのゲシャ地区でゲイシャ種のルーツを探るプロジェクトが立ち上がりました。 ゲシャの森から最終的に3種のゲイシャが見つかりましたが、エスメラルダ農園のゲシャと同じ品種だったかどうかは分かっていません。また、味わいに関してもそのいずれもがパナマゲイシャとはやや異なり、フローラルさよりもベリーを感じる酸味が強いとされています。 「ゲイシャショック」で注目された鼻に抜けるようなフローラルなアロマが弱いということからも、ゲイシャコーヒーといえば、その始まりの地・エチオピアではなくパナマと捉えられていることは、ゲイシャを語る上での面白さの一つでもあります。 ゲイシャ種は栽培地として高地を好むこと、樹木は高さがあり病害に弱いなど栽培が難しい品種ですが、ゲイシャ人気が後押しとなり、近年ではコロンビアやグアテマラなどゲイシャ種を育てる農園が増えてきています。 まだまだ新しい取り組みということもあり味の均一化が難しく、ゲイシャの最大の魅力であるフローラルなアロマがやや少ないなど、栽培された土地の個性が乗ってしまう傾向にありますが、それでもゲイシャ種ならではの繊細で複雑な味わいを楽しめます。 ゲイシャは原種に近い品種なので繊細な豆であること、また、フローラルな香りやフルーティな酸味を引き出すために、浅煎り〜中煎りの焙煎度合いが適しています。 コーヒーボーイでは、ゲイシャの複雑で繊細な味わいを際立たせるために中浅〜中煎りを選んでいますが、一概に「ゲイシャ」と言っても産地により味の出方に違いがあるので、焼いてみないとその潜在力がわからないという楽しさも秘めています。
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まだまだ始まったばかりの「ゲイシャコーヒー」ブランド。 その始まりに立ち会えていることは、コーヒー好きの身にとってはとても幸せで、ワクワクと胸が躍ります。 ゲイシャコーヒーの火付け役であるパナマゲイシャは流通量が少なく価格が跳ね上がっているので入手しにくく、多くのコーヒー専門店の店頭ではなかなか見かけられないのが現状です。 残念ながらコーヒーボーイでもこれまでコロンビアゲイシャやグアテマラゲイシャ、エチオピアゲイシャの取扱いをしてきましたが、パナマゲイシャはまだ販売していません。 近い将来 皆さんにも本格的な「パナマゲイシャ」をコーヒーボーイで味わっていただきたいのはもちろんのこと、大きなポテンシャルを感じるゲイシャコーヒーの未来を楽しみにしたいですね!
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