コーヒーボーイファミリー
野菜農家 藤井浩子さん

藤井浩子さんの「コーヒーの野菜」

ピカピカに光るイチゴやのびのびと元気なほうれん草。 透き通るような白い肌の大根… COFFEEBOY本店のカウンター前には週1~2回、採れたての野菜が並びます。 旬の定番野菜や果物のほか、ビーツや生落花生などちょっと珍しいものがお目見えすることも。 野菜目当てで来店されるお客様がいるほど話題になっている『コーヒーの野菜』たち。 今回は、そんな『コーヒーの野菜』を栽培している藤井浩子さんのお仕事の様子をご紹介します。 藤井さんの畑は周南市の郊外にあります。 ご主人のご家族が代々守ってきた農地を15年ほど前に引き継いだそうで、農作物や花の生産・出荷を手がけています。 栽培品目は季節ごとで15種類前後にもなる少量多品種方針。 どの野菜も、手をかけてていねいに育てています。 『家族でおいしい野菜を食べたい。せっかく畑があるんだから自分で作ってみよう』と、藤井さんの農業のスタートは、家庭菜園の延長のような感じだったそうです。 そこから家族では食べきれない野菜を友人知人に譲るようになり、徐々に出荷もするようになりました。 「本格的な農業を自分でやるのは初めてだったので、本やネットで調べたり農家の先輩に教えてもらったりと試行錯誤でした。そんな中で出会ったのが、コーヒーのチャフだったんです(藤井さん)」 チャフとは、焙煎前のコーヒー生豆についている薄皮(シルバースキンといいます)が、焙煎時に焼けて剥がれ落ちたものです。 渋みやえぐみの原因となるため、焙煎時に熱風で飛ばし集め、焙煎後溜まったチャフは廃棄していました。 そのチャフが、野菜栽培に? 最初に藤井さんからお話をいただいた時は驚きと共にどのようにして使われるのかと興味が沸々と。

 

「5年ほど前からコーヒーチャフとドリップ後に残る挽いたコーヒーを使って、『土づくり』をしているんです。以前コーヒーのチャフが土づくりに良いからといただく機会があって、ビニールハウスで育てている葉物の土づくりで試してみたところ、混ぜたとたんにコーヒーの香りがふわっと広がって、うわあ良い香り!と驚きました。農作業する私が、まずトリコになったんです(藤井さん)」 そうしてできた土は、農家の親類が『柔らかくてふわふわ!』と驚くほどの良質なものになりました。 「土が柔らかいというのは、植物の根がのびのびと張りやすく、しっかりと栄養を吸収する土台ができるということです。コーヒーの皮なら安心安全ですし。私は他に牛ふん、サンライム(牡蠣殻の粉)、有機肥料なども混ぜて土づくりをしていますが、チャフはその配合にもぴったりでした(藤井さん)」 もっと大量に継続的に手に入れるにはどうしたらいいかな…と考えていた藤井さんから声をかけていただいたのが、藤井さんとCOFFEEBOYのチャフとの出会いになりました。 「思い切ってお願いしてみると、お好きなだけ、と言ってくださったので『あるだけください!』と(笑)。私にとってはまさに宝の山でした(藤井さん)」 そうして毎週、焙煎時に出るチャフは藤井さんの元へ。 天日に広げて乾燥し、ふわふわになったチャフは他の肥料とともに土に混合されます。 あたたかな土の中で有機成分の発酵が促進され、栄養たっぷりの土になるのです。 (*チャフ及びドリップ後のコーヒー粉の堆肥副資材としての使用は、土壌の充分な発酵が必要です。使用分量や発酵方法などについては専門情報をご確認ください)

 

時に争奪戦にもなる藤井さんの野菜の魅力は、野菜本来の味が深く甘みを感じられるところにあります。 鮮度がしっかりとキープされて生命力の強さを感じられると感想を寄せてくださるお客様もいます。 「野菜を収穫する時間は、朝と決めています。朝採りの野菜は、夜の間に甘味を溜め込むので、おいしいんですよ(藤井さん)」 農業は、気候条件や雑草・害虫などとの戦いもあり、大変な事も多いんですよね…と、さらっと笑顔でお話する藤井さんの気負いのなさが、美味しい野菜作りの一番の肥料なのかもしれません。 藤井さんの幸せな瞬間は?とお聞きすると、「このふわふわの土の中から、小さな芽が出る瞬間が大好き。『赤ちゃんが生まれた!』という気持ちになります。すべてがここからスタートですから」と、いつもの笑顔で答えていただきました。

 

やっかいものとして処分していたチャフや、ドリップ後のコーヒーの忘れ物が藤井さんの野菜づくりにたずさわれている喜びと、余すところなく「コーヒーの全て」をお客様にお届けできることは、コーヒーを愛する私たちにとっても幸せな瞬間です! お近くにお越しの際はぜひCOFFEEBOY本店へ。『コーヒーの野菜』と一緒にお待ちしています。

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