私のコーヒーカップ
光店・守本雅美

米国製PYREX社のシンプルなカップ

米国製PYREX社で「by CORNING」。1960年代のものだと思います。ぽってりと分厚く頑丈です。 米軍モノだということで、さすが屈強な軍人と暮らしてきただけのことはありますね。 出逢ったのは10年くらい前、山口市のセレクトショップでこのカップがいくつか棚にならんでいました。 独特な乳白色の柔らかさと、少し黄色みの入ったブルーのライン。 シンプルさ、さわやかさと、経年の味のバランスがなんともいえないでしょう? 持つとしっかりとした重量感。手のひらですっぽり包みたくなるような丸味。 もう一目惚れでした。あ、これだ! と即決で連れて帰りました。

 

4000円くらいだったかな? 私としてはちょっと奮発でしたが迷いなく。 私は「出逢いを待つ」タイプです。「あ、これはいい」と納得するものに出逢うのを待っているんですね。 そして気に入ったものたちと長く付き合ってていねいに暮らす、そんな生活が好きなんです。 このお仕事をしていると「おうちでもたくさんコーヒーを飲まれるのでしょう?」と言われますが、 実はそうでもなくて、1杯くらいです。 それは、頭を空っぽにしたいとき。 自分をリセットして、ナチュラルにチューニングしたい、そんな時間です。 好きなのは、軽めのロースト。柔らかくてフルーティーなタイプです。 ドリップしながらその香りを楽しんで、このカップを手で包みながら、 何も考えずにいただいて一息。 この瞬間、フラットな自分に戻れるのです。

 

「コーヒー淹れたよ」、これが私の決まり文句。 一緒に暮らしている母にも声をかけます。 コーヒーって香りが広がるから、生活を共にする人の分も淹れる。これがコーヒーのできる「心遣い」です。 でも必ずしも一緒にいただくのではなくて、めいめいお気に入りの場所で楽ししむことが多いです。 これはコーヒーの「自由」。 私の定位置は、庭の見える大きな窓のそばです。 そこで庭の緑と、その上に広がる空をゆっくり見ています。 音楽がとても好きなので、よくかけています。 今ハマっているのは、FKL(フレンチ・キウイ・ジュース)という天才マルチアーティスト。 「JUST PIANO」は穏やかでエモーショナルなピアノ演奏でコーヒーにぴったりです。 おとものスイーツで好きなのは「食感があるオートミールのクッキー」かな。 コーヒーのスムーズ感、頭が空っぽでフラットな自分、の状態に「脳が喜ぶ」ザクザク感が刺激的なんです。

 

大切な時間を共に過ごすこのカップの良さは…やはり乳白色の色と、ブルーのラインかな。 ラインは少しはげているところもありますが、それも味わいです。 リセットのツールになってくれる相棒と共に暮らして、いつも思います。 「今日もありがたく、ていねいにすごそう」

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