【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方-
きれいな苦味を引出すレシピ解説
最終更新日: 2024/05/11
深煎りコーヒーは、焙煎の最終段階で現れる
苦味と濃厚感を味わうコーヒーです。
深くまで熱を入れた豆は、焙煎時の炭化にともない
ネガティブな要素を多く含むようになります。
この記事では、アクや雑味が少なく、
深煎りらしい「きれいな苦味」を味わいたい方へ、
ドリップコーヒーの淹れ方を解説します。
ドリップをする豆はどなたにも入手が容易な
インドネシア産マンデリンです。
今回ハンドドリップに使う豆は、
ウェブ上でも、お近くの自家焙煎豆専門店でも
入手が容易なストレートコーヒー豆です。
中でも深煎りの代表、インドネシア産マンデリンを使用します。
監修は'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長。
おいしいドリップコーヒーへの第一歩は、豆の量や挽き方、お湯の量や温度を意識する事から始まります。
計量器を用意する事が望ましいですが、用意できない方への対処法も記事内では解説しています。
このレシピで、あなたがハンドドリップの入り口に立てることを願っています。光店店長 守本雅美
さあ、美味しい深煎りドリップコーヒーを淹れてみましょう!
目次
1. 深煎り豆の特性と
インドネシア産マンデリンについて
2. 『【深煎り】ドリップコーヒーの
淹れ方-レシピ MAP』
3. 用意する豆の量と挽き方、
お湯の量と温度について
4. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第1投 / 蒸らし
5. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第2投 / 味形成と濃度調整
6. バリスタからのメッセージとまとめ
1. 深煎り豆の特性と
インドネシア産マンデリンについて
昨今、浅煎りのフルーティーなコーヒーは世界で確実に増えています。
一方、深煎りでしっかりとした風味や質感を表現できるコーヒーは少なくなりました。
その中でマンデリンは、世界中のダークローストファンを魅了し、確固たる地位を築いてきたと言えます。
深煎り豆の特性を知ることが、ドリップコーヒーの第1歩
この焙煎別ドリップコーヒーの淹れ方シリーズでは、
シティ ロースト、フルシティ ロースト、フレンチ ローストを深煎りとしています。
今回使用するマンデリンの焙煎度は、フレンチ ローストです。
深煎り豆の特性は、水分の含有量が低く、とても軟らか(もろい)です。
手動式のミルで挽くと、
他の焙煎豆に比べ、カリカリと音もせずミルを回す力もそれほど必要としません。
これは、ドリップを始めた時に、粉が一気にお湯を吸収してしまう性質を表しています。
豆の挽き方とお湯の温度に注意をしながら、抽出をしていきます。
コラム : コーヒー豆の話をしましょう。_02
●2度爆ぜる。● ダークロースト用の生豆は、深い煎りにも炭化をせずに耐えられる本来の強度を備えています。
コーヒー豆の話をしましょう。_02は >>>こちらから
「マンデリン・ロースト8」。
味わい/フレーバー/酸味について
マンデリンが世界にコーヒーファンを持つ理由は、ユニークな精製方法にあります。
スマトラ式と呼ばれるその方式は、高温多湿の気候に合わせて生まれた乾燥方法です。
水分量の多い鮮やかなグリーンの生豆は、色素を残したまま精製されます。
またスマトラ方式は、深煎りしたときに他の豆にはない独特の味わいを見せます。
COFFEEBOYの『マンデリン ロースト8』、8番目の焙煎=フレンチローストまで焼き進めることで
口に含んだときの重厚感やタラゴンのようなスパイシーさが生まれます。
2. 『【深煎り】ドリップコーヒーの
淹れ方-レシピ MAP』
これから解説するドリップコーヒー の淹れ方【深煎り編】のレシピMAPです。
シティローストより深い焙煎域で応用できます。ブックマークをしてご利用ください。
3. 用意する豆の量と挽き方、
お湯の量と温度について
おいしいコーヒー を淹れるためには、豆の量やお湯の量を意識することが大切です。
杯数が増えても変わらないルールがあります。豆の量 : 仕上がりコーヒー量 : お湯の量=1 : 10 : 13です。
コーヒーの仕上がり量と豆の量、豆の挽き方(挽き目)について
このレシピでは、マグカップで1杯分。およそ200mlをハンドドリップします。
200mlのドリップコーヒーを淹れるために必要な豆の量=粉の量は20gです。
豆のままで購入した時は、中粗挽きにしてください。粗さは画像のような感じです。
粉で購入された時は、おおよそ中挽きに挽かれています。
用意するお湯の量は260ml。温度は85℃です。
200mlをハンドドリップするために必要な湯量は260ml(仕上がりの1.3倍)です。
また、深煎りに最適な湯温は85℃です。
湯温計をお持ちなら正確に測ってください。
湯温計が用意できない時は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)
・その過程で湯温はおよそ90℃前後になります。
・さらに少し時間をおいて冷ましてください。
仕上がりの温度は、およそ75℃です。様々な要素をバランスよく感じることのできる温度です。
*覚えておいてください。豆の量 : 仕上がり抽出量 : 湯量は、常に 1 : 10 : 13 です。
*スペシャルティコーヒーの場合は、0.9 : 10 : 13 になります。
4. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第1投 / 蒸らし
ドリップコーヒーを淹れる時、1投目は必ず蒸らしを行います。コーヒー粉を湿らせて、抽出の準備をします。
浅煎りや中煎りをドリップする時も同じですが、注ぐお湯の量と蒸らしの時間が異なります。
1投目 : 蒸らし。お湯の量と時間。
さあ、ハンドドリップのスタートです。
第1投は「蒸らし」です。
最初にドリッパーをトントンと叩いてフィルター内のコーヒー粉を平らにします。
そして、コーヒー粉全体にお湯を満遍なく注いでいきます。
画像(2段目)のようにコーヒー粉が膨らみ、抽出の準備を始めます。
蒸らしの湯量は50ml(50 g)です。
スケール(計量器)を用意できる時は、
・サーバーにフィルターをセット、コーヒー粉を入れた状態で0gにセットてください。
・蒸らしのお湯を50ml(50g)ドリップしてください。
スケールを用意できない時は、
・サーバーに滴がしたたるまで注ぎましょう。
最終的にサーバーの底に薄くコーヒー液が溜まる状態になります。
蒸らしの時間は、深煎りの場合、50秒間です。(注ぐ時間=約10秒 蒸らし=40秒が目安)
Q : 蒸らしの前にペーパーフィルターを濡らした方が良いでしょうか?
A. クラフト色の みさらしフィルターはリンス(濡らす)をお勧めします。匂いの除去がされていない場合があります。漂白済の白いフィルターは、リンスしなくても味には影響はありませんが、私はリンスをする派です。
5. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第2投 / 味形成と濃度調整
第2投は、味の形成と濃度調整です。
ここではセンター・プア(センター=中心/プア=注ぐ)と呼ばれるお湯の注ぎ方をします。
第2投。コーヒーの主な成分抽出と味形成。
第2投。
【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方で大切なのは、
焙煎時に発生した雑味を抽出しない様にドリップをすることです。
蒸らしで膨らんだコーヒー粉の頂点に、
細いお湯をス〜と注いでください。
ケトルを動かさずドリッパーの中心だけを目掛け、
210ml全ての湯を注ぎきりましょう。
このドリップ方法を『センター・プア』と言います。(プアは英語で注ぐ:pourを意味します。)
中心の雑味のないクリアなコーヒーだけを抽出します。2投目でコーヒー成分を全て出しきります。
210mlを注ぐ時間は約1分40秒、
2投目の工程は約2分10秒です。(注ぐ時間=100秒 落ち待ち=30秒)
何度かドリップをしてみて濃度を調整したい時は、注ぐ速度やお湯の太さを変化させてください。
・薄くしたい時は、
注ぐ湯を太くして、サァ〜と早く落としましょう。
・濃くしたい時は、
中心から小さな円を描くように細いお湯を注いでください。
さあ、コーヒーがサーバーへ落ち切ったら、深煎りドリップコーヒーの完成です!!!
6. バリスタからのメッセージとまとめ
ドリップコーヒーの淹れ方【深煎り編】は、いかがでしたか?
ハンドドリップは、コーヒーの世界を広げてくれます。光店守本店長
わたしから一つ、提案があります。
このレシピを試された後、次は湯温を78℃に下げて抽出をしてみてください。
これまでになくスパイシーで味わい深いマンデリンを発見できると思います。
コーヒーは、時間の経過によって移りかわるカラフルさを楽しむ飲み物でもあります。
そんな味わい方を知っている方なら、きっと喜んでいただけるはずです。
ここに記したレシピは、深煎りドリップコーヒーの淹れ方の一つの基準でしか過ぎません。
様々なハンドドリップを思考錯誤して、ぜひ、あなた のマンデリンと出逢ってください。
守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位
*日本スペシャルティコーヒー協会_過去の競技結果
【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方 レシピMAPを再掲します。
ドリップコーヒーの淹れ方
【深煎り編】のまとめ
○仕上がりのコーヒー量 | -200ml |
○コーヒー粉 | -20g / 中粗挽き |
○注ぐ湯量/湯温 | -260ml / 85℃ |
○仕上がるまでの時間 | -およそ3分00秒 |
●1投目 【 蒸らし 】 | |
注ぐ湯量 | -50ml |
時間 | -50秒(注ぐ時間=10秒+蒸らし=40秒) |
スケールが用意できない場合 | -サーバーへ滴が垂れるまで |
●2投目 【 コーヒーの味形成 】 | |
注ぐ湯量 | -210ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -中心のみにドリップ / センター・プア |
時間 | -注ぐ時間=100秒(その後、落ち切り) |
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