メールマガジン2023/JUNE

コーヒーボーイ メンバーズの皆様へ

コーヒーボーイ・メールマガジンでは、ショップ情報のほかコーヒーにまつわるトピックスをお届けしています。 今月は、コーヒーの豆知識をお伝えする「今さら聞けないコーヒーのはなしVol.4 焙煎について(前編)」と、 「NO COFFEE. NO CREATION. 」では随筆家の寺田寅彦氏とコーヒーの関係を紐解いてみました。

6月のおすすめ豆

6月にご紹介するビーンズは、瑞々しいコーヒー果実の甘みをそのまま味わえる「コスタリカ ・イエローハニー」です。 スペイン語で「豊かな海岸」という意味を持つ国名の通り、コスタリカでは東西をカリブ海と太平洋に囲まれた自然豊かな土地でコーヒーが栽培されています。 またコスタリカは、小規模農家が独自の精製方法で様々な特徴を持ったコーヒーを産出している事でも有名です。 *「ハニー」とは、コーヒーの果実がもともと持っている蜜のような甘さを、コーヒー豆に残す製法のコーヒーのこと。 穏やかなコクといっしょに、いつまでも余韻が続く複雑でリッチな甘みが特徴です。 〈コスタリカ ・イエローハニー〉 プロダクトナンバー:No.657 生産国:6 コスタリカ(中米) 焙煎度:5 ハイロースト   濃厚感:7 クリーミーな 生産地: コスタリカ セントラルバレー 精製方法 :パルプド・ナチュラル(ハニー)製法 価格:1,058円(税込)100g プロダクトナンバーとは? コーヒーボーイでは豆の特性を3ケタの数字で表しています。 お気に入りの豆のナンバーをチェックすると、あなたのお好みがわかりますよ! 000  100のケタは原産国を表しています。 000  10のケタは焙煎の深さを表しています。 000  1のケタは濃厚感の強さを表しています。 詳細はこちらコーヒーボーイのプロダクトナンバー

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今さら聞けないコーヒーのはなし
Vol.4 焙煎とは?(前編)

僕は元々コーヒーが大好きで自分なりにコーヒー周辺のことをかじってはいたのですが、 実際に焙煎を経験したのはコーヒーボーイに入社してからのことでした。 入社の翌年くらいから焙煎を任されるようになり、すぐに夢中になったことを覚えています。 当時コーヒーボーイの焙煎をしていた先代の社長に教えてもらいながら始まった焙煎の仕事も早25年近くになります。 面白いもので、コーヒーの知識が増せば増すほど焙煎の難しさと向き合うこととなり、 今でも時々失敗しながらも(苦笑)、コーヒーの奥深さを実感する毎日です。 そんな焙煎の奥深さ・面白さを皆さんにご案内できたらと思います。 【焙煎の役割とは?】 コーヒーの生豆は精製という作業によって出来上がることは前回お話した通りですが (精製に関しては前回の今さら聞けないコーヒーのはなしVol.3をご参照ください)、 生豆は熱を加えること(焙煎)で僕たちが日常的に飲んでいるコーヒーの味になります。 つまり焙煎とは、コーヒーの味を引き出す作業、生豆をコーヒー豆に発達させる工程のことを指します。 焙煎されたコーヒーが持つ味わいの成分は、なんと800種類以上もある(!)と言われていて、 まだまだその数は増えています(ワインではおよそ250種類)。 コーヒーの膨大な数の味わいの違いは、焙煎の工程が担っていると言っても過言ではありません。   味わいは5味と呼ばれる5つのカテゴリーに分類されています。 「甘み」「酸味」「苦味」「香り」「まろやかさ(質感・マウスフィール)」が複雑に絡み合うことで、 コーヒーのおいしさにつながっていきます。 豆ごとの特徴を理解しながらこれら5つの味わいを焙煎の度合いによってバランスよく整え・引き出していくこと、それが焙煎の役割なんです。

 

【焙煎の第一歩はローストデザインをするところから】 焙煎は、まずそれぞれのコーヒーの銘柄によってどういったコーヒーにするかという目標を決めるところから始まります。 具体的には、引き出したい味を決めてそこから焙煎時間や加える熱量を割り出していく、 この一連の流れをローストデザインと呼びます。 コーヒー豆は銘柄によって向いている焙煎度合いがあるのですが、 その中で店ごとの「らしさ」をどう加えていくかが、焙煎士の腕の見せ所になります。 コーヒーボーイで言えば、『山口の甘いコーヒー』に仕上げていくのが僕の大きな役割です。 仕入れたコーヒー豆には通常 味の傾向や適した焙煎度合いなどを記した鑑定書がついてくるので、それをベースにすることももちろんありますが、 味わいの傾向がレモンやライムなど酸味が強いものであれば焙煎時間を長くして酸味をなくしていく(コーヒーボーイでは甘みを大切にしているので)、といった具合に微調整をすることが重要なのです。 初めましての豆や久しぶりに扱う豆の場合には、必ず2〜3回テストローストをしてコーヒーボーイの味に仕上げていくようにしています。 【焙煎度合いで味を微調整】 皆さんもコーヒー豆販売店やカフェなどで「浅煎り」や「深煎り」という言葉を見聞きしたことがあると思います。 言葉の通り、「浅煎り」は短い時間で浅くローストした豆のことで、 「深煎り」はその反対、じっくりと長い時間をかけてローストした豆のことを指します。 その間や前後にも数多くの焙煎度合いがあるのですが、 コーヒーボーイでは焙煎の度合いをライトローストからイタリアンローストまでの10段階に分けています。 僕たちが皆さんに提供している豆には、銘柄名や豆の種類の他にプロダクトナンバーと名付けている3桁の数字も提示されています(2桁目が焙煎の度合い)。 細かな焙煎度合いを知ることで、コーヒーの味の傾向が見えてきてより自分の好みに合った豆を探す手助けにもなりますし、新しい味へのチャレンジの目安にもなるのではないでしょうか。 *プロダクトナンバーの詳細はこちらのページをご覧ください。 最初にお話したように、コーヒーの味わい「五味」をバランスよく整えることが焙煎の大きな役割です。 豆の種類にもよりますが、焙煎された豆は最初に酸味や香りが立ち上がり(浅煎りの状態)、 次に甘味が乗り(中煎り)さらに焙煎を進めると徐々に苦味や重みのある質感が引き立っていきます(深煎りの状態)。 酸味は中煎り程度までは残っていますが、それ以上になると少しずつ抑えられていきます。 また、甘味も深煎りになるとほぼ残っていません。 時々お客さまからコーヒー初心者は浅煎り、ステップアップしてコーヒーに慣れてくると深煎りがいい?といった質問をされることがあるのですが、 焙煎度合いはあくまでも味の傾向の目安なので、酸味のあるコーヒーがお好みなら浅煎りを、苦味を求めるなら深煎りを選ぶことをおすすめしています。 コーヒーの味わいは焙煎の度合いだけではなくどんな焙煎機を使用しているのかによっても左右されます。 次回後編ではコーヒーボーイの焙煎機のご紹介や、僕が焙煎で大切にしていることなどを引き続きお話ししていきたいと思います。 お楽しみに! *後編は9月号(8月23日配信)の予定です。

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NO COFFEE. NO CREATION. 

【一杯のコーヒーから哲学へ 寺田寅彦『コーヒー哲学序説』】 オランダ宣教師たちによって日本にコーヒーがもたらされたのは17世紀ほど、 それらが開国を機に庶民へと普及したのは江戸末期から明治以降になります。 「新しい飲料」としてのコーヒーを口にした日本人は、どのようなことを考えたのでしょうか? 明治時代に物理学者・随筆家として活躍した寺田寅彦は、師である夏目漱石にも認められた文学の才能と、 持ち前の科学的洞察を活かして、優れたエッセイを数多く生み出しました。 彼は相当なコーヒー通だったようで、『コーヒー哲学序説』というコーヒーにまつわる随筆を残しています。 寺田寅彦のはじめて口にしたコーヒーは、嗜好飲料ではありませんでした。 彼の幼少期、体の弱い人への薬として出された牛乳の、美味とは言えない味を緩和するため、医者がコーヒーの粉を混ぜたのだといいます。 けれどもその粉のエキゾチックな味と香りに、幼少の寺田寅彦は心酔してしまったようです。

 

その後、ベルリン留学時の体験などを通して、寺田寅彦はコーヒーへの愛着を深めていきました。 帰国後も喫茶店をめぐり、コーヒーを飲む習慣は続きます。 彼は自分を「コーヒー通ではない」としながらも、店によってコーヒーの味に区別があることに思いを馳せ、 「コーヒーの出し方はたしかに一つの芸術である」と言います。 寺田寅彦はまた、「コーヒーを飲むためにコーヒーを飲むのではない」とも記しています。 自宅で苦労してコーヒーを淹れても、「何か物足りない」と言うのです。 いわく、コーヒーの味は「コーヒーによって呼び出される幻想曲の味」であり、それを呼び出すには「前奏が必要」なのだそう。 どうやら彼は、コーヒーを飲むことを単なる行為としてではなく、喫茶店の雰囲気やシチュエーションを含めた、総合的な体験としてとらえていたようです。 『コーヒー哲学序説』はそれから、哲学・文化とコーヒーとの関係へと話が広がっていきます。 短いながらも寺田寅彦の思索をたどれる名作です。ぜひ今日の一杯をお供に読んでみてください。

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